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商標を申請する方法|出願書類の書き方と提出までの流れ

公開日 2026年10月26日  監修 弁理士(登録番号 19728)・SPECIAL FLOWER特許事務所 代表 下茂 力

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商標を申請する手続は、特許庁に「商標登録願」を1通提出するだけです。用意する書類はこれ1つ。分量もA4で2〜3枚です。

難しいのは書類の作成ではなく、その前に決めることです。どの商標を、どの区分で、どの商品・サービスについて出すのか。ここを決めれば、願書は埋まります。

この記事では、商標登録願の記載項目を1つずつ説明し、提出のしかた(郵送・窓口・オンライン)を比較し、提出後に何が起きるかまでを順に追います。

この記事でわかること
  • 商標登録願の記載項目と、それぞれの書き方
  • 標準文字で出すか、ロゴのまま出すか
  • 指定商品・指定役務の正しい書き方
  • 提出方法3通りの違いと費用
  • 提出後の流れと、書類に不備があった場合
  • よくある記載ミス
監修 弁理士(登録番号 19728)・SPECIAL FLOWER特許事務所 代表 下茂 力
長岡技術科学大学大学院修士課程修了。2001年国内特許事務所入所、2013年弁理士試験合格、2015年群馬工業高等専門学校非常勤講師、2026年SPECIAL FLOWER特許事務所設立。特許事務所において20年以上、電子デバイス・機械要素を中心に国内外の特許出願・拒絶理由対応に従事。この記事は、上記の弁理士が内容を確認しています。
免責事項 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件に対する法的アドバイスを提供するものではありません。具体的な案件については当事務所へご相談ください。当事務所は本文書または本文書掲載の情報の利用によって利用者等に何らかの損害が発生したとしても、かかる損害については一切の責任を負うものではありません。

提出する書類は1つだけ

商標登録出願に必要な書類は商標登録願のみです。

内容
用紙A4サイズ、白色、縦置き・横書き
余白左右各2cm以上、上部6cm以上、下部4cm以上
文字10〜12ポイント、black、明朝体またはゴシック体
枚数通常2〜3枚
綴じ方左横一箇所をホチキス留め(契印は不要)

添付書類が要る場合

  • 団体商標:法人格を証明する書面
  • 地域団体商標:組合等であることを証明する書面、周知性を示す資料
  • 代理人による出願:委任状(通常は不要。包括委任状を使う場合など)
  • 色彩・音・動きなどの新しいタイプの商標:商標の詳細な説明、物件

通常の文字商標・ロゴ商標なら、添付書類はありません。

記載項目を1つずつ

【書類名】

「商標登録願」と書きます。

【整理番号】

自分で付ける管理番号です。半角の英数字と記号(ハイフン)で10字以内。「2026-001」のような形で構いません。特許庁が使う番号ではなく、自分で案件を管理するためのものです。

【提出日】

郵送なら投函日、特許庁に持参するならその日を書きます。オンライン出願では自動的に入ります。

【あて先】

「特許庁長官 殿」と書きます。

【商標登録を受けようとする商標】

8cm四方の枠内に商標を記載します。枠に収まらない場合は最大15cm四方まで拡大できます。

  • 文字商標なら、その文字を記載
  • ロゴなら、画像を貼り付ける(印刷しても不鮮明にならないこと)
  • ボールペン等、容易に消えない筆記具で手書きしても構いません

【標準文字】

標準文字で出願する場合のみ、この項目を設けて何も書かない(項目名だけ記載する)形にします。

【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】

次章で詳しく扱います。

【商標登録出願人】

  • 【識別番号】:初めての出願なら記載不要(後日通知されます)。2回目以降は記載
  • 【住所又は居所】:法人なら本店所在地、個人なら住所
  • 【氏名又は名称】:法人名または個人名。個人事業主は、屋号ではなく個人名

法人の場合、代表者名の記載は不要です。押印も原則として不要になりました。

記入例を見ながら書くなら
書影

商標登録願は、記入例があれば自分で書けます。株式会社SPECIAL FLOWER COMPANY 代表取締役会長 井澤 佑斗 著『自分でできる 特許(実用新案・意匠・商標)出願の手続きと活かし方』(日本法令・568頁)に収められています。

本記事に対応するのは第3編 第2章 第4 商標(1)商標登録願です。(ii)効率的な書類を書く準備、(iii)商標の決定、(iv)「商品及び役務の区分」と「指定商品・指定役務」の決定、(v)様式、(vi)例という順です。共通の様式(申請者・手数料の表示・減免の表示)は第3編 第1章(2)共通の様式に、提出方法は第1編 第1章 電子申請・第2章 書面申請にあります。

標準文字で出すか、そのまま出すか

文字だけの商標は、2通りの出し方があります。

標準文字通常の文字商標
書き方【標準文字】の項目を設ける枠内に文字を記載するのみ
登録される態様特許庁が定めた書体願書に書いたとおりの態様
権利範囲同一・類似の範囲(差はない)同左

標準文字にできない場合

  • 図形を含む
  • 文字数が30字を超える
  • 縦書き、2段以上の構成
  • 文字の大きさ(ポイント)が異なる
  • 色彩が付いている
  • 指定された文字以外を含む
  • 文字の一部が図形的、または異なる書体

これらに当たる場合は、標準文字の記載をせず、通常の文字商標またはロゴ商標として出願します。

どちらを選ぶか

標準文字は、どんな書体で使っても守られるのが利点です。ロゴを将来変更する可能性があるなら、標準文字が有利です。 デザインそのものを守りたいなら、ロゴ商標を別に出願します。両方出すのが理想ですが、1件しか出せないなら標準文字を優先するのが実務です。

指定商品・指定役務の書き方

ここが最も間違いの多い項目です。

記載の形式

【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】
 【第30類】
 【指定商品(指定役務)】 コーヒー,茶,菓子,パン
 【第43類】
 【指定商品(指定役務)】 飲食物の提供

区分ごとに項目を設け、その区分に属する商品・役務を列挙します。区切りは全角のカンマ(,)です。

使う言葉は、決まったものを

特許庁が公表している「類似商品・役務審査基準」に載っている表示をそのまま使ってください。J-PlatPatの「商品・役務名検索」で出てくる表示が、これに準拠しています。 独自の表現を使うと、「記載が不明確」として拒絶理由になります。手続補正書を出して直すことになり、手間が増えます。

区分と商品の対応を間違えない

指定した商品が、その区分に属していないと拒絶理由になります。「コーヒー」は第30類であって第43類ではありません。「飲食物の提供」は第43類であって第30類ではありません。

多く書けばよいというものではありません

1区分の中で商品を増やしても費用は変わりませんが、使う予定のない商品まで指定すると、後で不使用取消審判の対象になり得ます。また、指定商品が広いほど、先行商標にぶつかる可能性も上がります。

「実際に使う」「これから使う」商品・役務に絞ってください。

指定商品・指定役務の選び方が、権利の範囲を決めます

願書の記載項目の中で、後から直せないのがここだけです。方式的なミスは手続補正書で直せますが、出願後に区分を追加することはできません。足りなければ、あらためて別に出願することになります。

SPECIAL FLOWER IP LAW FIRM の初回相談では、いま売っているもの・これから売る予定のものをうかがい、必要な区分と、標準的な表示での書き方をお示しします。ご自身で出願される前提でのご相談も承ります。

提出のしかた

方法費用準備向く場合
郵送出願料+電子化手数料(1,200円+700円×枚数)+郵送料なし年1〜2件
窓口へ持参出願料+電子化手数料なし東京近郊で、その場で受理を確認したい場合
オンライン出願料のみ電子証明書、出願ソフトの設定継続的に出願する

郵送の場合

  • 宛先:〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 特許庁長官 宛
  • 封筒に「商標登録願在中」と記載
  • 書留・簡易書留・特定記録など、投函日が分かる方法を使う
  • 提出日は投函日になります(発信主義)

出願料の納付

  • 特許印紙を願書に貼付(消印はしない)
  • または予納、口座振替、電子現金納付、クレジットカード(オンライン出願の場合)

収入印紙ではなく特許印紙です。郵便局や特許庁内の印紙売りさばき所で購入できます。よくある間違いです。

オンライン出願の準備

  • 電子証明書(法人は商業登記電子証明書、個人はマイナンバーカード等)
  • インターネット出願ソフト(特許庁が無償配布)
  • 申請人利用登録(識別番号の取得)

準備に数週間かかりますが、一度整えれば以後は手数料が不要になります。

継続的に出願するなら、オンライン出願の準備を

電子出願にすると、電子化手数料(1件あたり2,600円程度)が不要になり、出願番号も即時に通知されます。準備には電子証明書の取得と出願ソフトの設定が必要で、数週間かかりますが、一度整えれば以後はずっと使えます。

設定でつまずくことが多いのも事実です。初回相談のお申し込みはこちら。内製化を進めたい場合の環境整備からご一緒します。

提出後の流れと、よくあるミス

提出後の流れ

  1. 出願番号の通知(オンラインなら即時、書面なら数週間後)
  2. 方式審査:書式の不備を確認。不備があれば手続補正指令が届きます
  3. 出願公開:出願から約2週間で公開公報が発行されます
  4. 実体審査:5〜10か月
  5. 登録査定または拒絶理由通知

よくある記載ミス

ミスどうなるか
収入印紙を貼った手続補正指令。特許印紙が正しい
特許印紙に消印をした同上。消印はしない
指定商品が区分と対応していない拒絶理由通知
独自の表現で指定商品を書いた記載不明確として拒絶理由
商標の枠が8cmを超えている(15cm以内の記載なし)手続補正指令
個人事業主が屋号で出願した手続補正指令。個人名で出す
提出日を空欄にした手続補正指令

方式的なミスは手続補正書で直せます。致命的ではありませんが、その分だけ時間がかかります。 一方、指定商品の選び方の間違いは、後から区分を追加できないため取り返しがつきません。ここだけは、出す前に確認してください。

弁理士はここを見ている

① 収入印紙と特許印紙を間違える方が、毎年います。
特許庁に納めるのは特許印紙です。収入印紙ではありません。見た目が似ていて、郵便局でも両方売っているため、取り違えが起きます。そして、貼った後に消印をしてしまう方もいます。消印は不要です。どちらも手続補正指令で直せますが、その分だけ日数がかかります。オンライン出願にすれば、この問題自体がなくなります。年に何件も出すなら、電子証明書を取得する価値はここにもあります。

② 指定商品は「多く書く」ものではありません。
1区分の中で商品を増やしても出願料は変わらないため、「念のため多めに」と書きたくなります。しかしこれは2つの点で不利に働きます。1つは、指定商品が広いほど先行商標にぶつかる可能性が上がること。もう1つは、使っていない商品について後から不使用取消審判を請求される余地が生まれることです。実際に使う、またはこれから使う商品・役務に絞ってください。広ければ強い権利になる、というものではありません。

③ 願書は、決まった言葉で書くほど早く通ります。
自社の商品を、自社の言葉で説明したくなるのは自然です。しかし願書では逆で、特許庁の「類似商品・役務審査基準」に載っている表示をそのまま使うほど、審査はスムーズに進みます。独自の表現は「記載が不明確」として拒絶理由になり、手続補正書を出すことになる。J-PlatPatの商品・役務名検索で出てくる表示を、そのままコピーして使ってください。ここで個性を出す必要はありません。個性を出すのは商標そのもので十分です。

よくある質問

Q. 必要な書類は何ですか。
商標登録願1通だけです。通常の文字商標・ロゴ商標なら添付書類はありません。団体商標・地域団体商標・新しいタイプの商標では、証明書類や商標の詳細な説明が必要になります。

Q. 押印は必要ですか。
原則として不要です。法人の場合、代表者名の記載も不要です。

Q. 個人事業主です。屋号で出願できますか。
できません。出願人・権利者は個人のお名前になります。屋号を商標として登録することはできますが、それは【商標登録を受けようとする商標】の欄に書く内容であって、出願人の欄には個人名を記載します。

Q. 収入印紙でよいですか。
特許印紙です。収入印紙ではありません。郵便局や特許庁内の印紙売りさばき所で購入できます。貼付後の消印は不要です。

Q. 提出日はいつになりますか。
郵送なら投函日(発信主義)、持参ならその日、オンラインなら送信日です。書留・簡易書留・特定記録など、投函日が分かる方法を使ってください。

Q. 指定商品は多く書いたほうが有利ですか。
いいえ。1区分内で増やしても費用は変わりませんが、先行商標にぶつかる可能性が上がり、使っていない商品について不使用取消審判を請求される余地が生まれます。実際に使う商品・役務に絞ってください。

Q. 書類に不備があったら、どうなりますか。
方式審査で見つかると手続補正指令が届き、手続補正書で直せます。出願が却下されるわけではありません。ただし、その分だけ時間がかかります。指定商品の選び方の間違いだけは、区分を追加できないため取り返しがつきません。

まとめ

  • 提出する書類は商標登録願1通のみ。通常は添付書類なし
  • 記載項目は、書類名・整理番号・提出日・あて先・商標・指定商品と区分・出願人
  • 商標は8cm四方の枠内(最大15cmまで拡大可)
  • 文字だけなら標準文字が汎用的。図形・縦書き・2段・色彩付きは不可
  • 指定商品は特許庁の「類似商品・役務審査基準」の表示をそのまま使う
  • 多く書けばよいものではない。実際に使うものに絞る
  • 納めるのは特許印紙(収入印紙ではない)。消印は不要
  • 郵送は投函日が提出日。オンラインなら電子化手数料が不要

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