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国際移行の可否を見極める視点

更新日:2 日前

国際移行の可否を見極める視点|PCT国内移行・外国特許出願の判断基準

国際移行の可否を見極める視点


PCT国際出願をした後、重要になるのが、どの国へ国内移行するかという判断です。

ここでいう「国際移行」とは、PCT国際出願を、特許を取得したい各国の国内手続へ進めることを指します。実務上は、PCT国内移行、各国移行、外国特許出願の国内移行などと呼ばれます。


PCT国際出願は、それ自体で世界中の特許権を取得できる制度ではありません。特許庁も、PCT国際出願は国際的な「出願手続」であり、特許を取得できるかどうかは各国特許庁の実体審査に委ねられると説明しています。


国内移行とは何か


国内移行とは、PCT国際出願を、各国の国内手続に係属させるための手続です。特許庁資料では、「各国の国内手続に係属させる」手続を「国内移行」と呼ぶと説明されています。


通常、国内移行は優先日から原則30か月以内に行います。特許庁も、PCT国際出願の国内移行期限について、条約上、原則として優先日から30か月であると説明しています。


国際移行の可否を判断する主な視点


国内移行は、費用も時間もかかる重要な判断です。すべての国へ移行するのではなく、事業上の価値が高い国を選ぶことが大切です。


まず確認すべきなのは、その国に市場があるかです。製品やサービスを販売する予定がない国、ライセンス候補が存在しない国、将来的な製造・流通の可能性が低い国では、国内移行の優先度は下がります。


次に、競合他社の活動地域を確認します。自社が販売しない国であっても、競合の製造拠点や輸出拠点がある場合、その国で特許権を取得する意味があります。特許は、販売市場だけでなく、製造・輸出・ライセンス交渉の観点からも検討します。


さらに、権利化の可能性も重要です。国際調査報告や見解書で新規性・進歩性に厳しい指摘がある場合、そのまま各国移行すると、費用だけが先行することがあります。一方で、補正や請求項の設計によって権利化できる見込みがある場合には、国内移行を検討する価値があります。


費用対効果の判断


国内移行では、翻訳費用、現地代理人費用、各国庁費用、審査請求費用、中間対応費用、登録後の年金などが発生します。したがって、移行国を決める際には、「取得できそうか」だけでなく、「取得した特許を事業に使えるか」を見る必要があります。


特に中小企業やスタートアップでは、すべての主要国へ移行するよりも、事業国、競合国、製造国、ライセンス候補国を中心に、優先順位をつけることが現実的です。


特許事務所に相談すべき場面


次のような場合には、国内移行前に特許事務所へ相談することをおすすめします。


・PCT出願の30か月期限が近い

・どの国に移行すべきか迷っている

・国際調査報告で否定的な見解が出ている

・海外展開やライセンス交渉を予定している

・競合他社の海外展開が気になる

・費用を抑えながら外国特許を取得したい


国内移行は、単なる手続ではなく、海外事業と知的財産戦略をつなぐ判断です。どの国で特許を取るかによって、将来の販売戦略、ライセンス交渉、競合対応の自由度が変わります。


まとめ


国際移行の可否は、発明の価値だけで判断するものではありません。市場性、競合状況、権利化可能性、費用対効果、将来の事業計画を総合的に見て判断する必要があります。


PCT国際出願を活かすためには、30か月の期限を待つだけでなく、早い段階から「どの国で、何のために、どの範囲の権利を取得するのか」を設計することが重要です。

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