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特許手続における経過到達制度の仕組みと応答期限超過を防ぐ実務対策

9月4日
読了時間: 5分

特許庁からのオンライン発送書類を受領せずに放置した場合、受取可能となった日の翌日から起算して10日目に書類が到達したとみなされる経過到達制度が適用され、その翌日から応答期間が進行します。放置すると未応答で拒絶査定となる恐れがあるため、仕組みと対策を正しく理解することが不可欠です。


▌ 01|経過到達制度の概要と応答期間の計算方法


受取可能日から10日目の経過到達と起算ルール


特許庁で起算および決済された発送書類は、1日1回のタイミングで翌日の午前9時に受け取り可能状態となり、発送書類のデータが特許庁の専用サーバーに格納されます。この格納された日が、申請人がインターネット出願ソフトを用いて受取可能となった日です。

経過到達制度とは、特許庁の専用サーバーに格納された発送書類がオンライン受領されずに放置された場合、所定期間の経過後に本人へ到達したとみなす仕組みです。具体的には、受取可能となった日の翌日を1日目と起算し、10日目に特定通知等が申請人に到達したとみなされます。オンライン受領の操作を行わないままであっても、10日目が経過した時点で法的書類が到達した扱いになり、手続きのカウントダウンが開始されます。


応答期間の計算例と未応答による影響


発送書類の中に拒絶理由通知書や補正指令書などの応答期間が定められている書類が含まれている場合、経過到達によって到達とみなされた日の翌日を1日目として応答期間が起算されます。

例えば、受取可能となった日の翌日から10日目に到達とみなされた場合、その翌日である11日目から応答期間が進行します。もし長期間にわたって電子出願ソフトを起動しない、あるいは起動してもオンライン受領の操作を行わずに放置してしまうと、出願人が気づかないうちに通告が到達したとみなされ、指定された応答期間を渡過してしまうリスクが生じます。

特許出願の審査期間中において応答期間を渡過した場合、最悪のケースでは未応答とみなされて拒絶査定となります。権利化の機会を失う重大な不利益につながるため、受領の有無に関わらず期限が進行する点を強く意識する必要があります。


▌ 02|経過到達制度における旧制度と現行制度の注意点


インターネット上の誤情報と旧制度との違い


経過到達は令和8年4月1日から開始された制度です。この制度変更に関しては、インターネット上に残存する古い情報や誤った解説記事に注意しなければなりません。

令和8年4月1日より前の旧制度では、オンラインで未受領のまま10日が経過すると、特許庁のシステムによって受領方式がオンライン受領から書面受領へ自動的に切り替わり、紙の書類が普通郵便等で発送される運用となっていました。そのため、ネット上のまとめサイトなどには、受領せずに10日経過すれば郵送されるという説明が残されていることがあります。

しかし、現行の新制度では書面受領への自動切替は行われず、10日目経過時点で経過到達として受領完了とみなされます。旧制度の認識のままオンライン受領を放置すると、郵送を待っている間に応答期間が過ぎて拒絶査定に至る危険性があります。


書面受領における送達ルールと注意点


発送書類の受け取り方法として、あらかじめ書面受領を選択している場合は経過到達の規定は適用されず、書類は出願人の住所または代理人の住所宛てに紙で発送されます。

応答期間のある書類は簡易書留で発送され、郵便局員から手渡された日が書類を受け取った日となります。追跡番号によって受領日が管理され、その受領日の翌日を1日目として応答期間が起算されます。一方、応答期間のない書類は普通郵便等で差置き送達されます。

書面受領は経過到達の対策が不要である反面、特許出願におけるスーパー早期審査が利用できないという制約があります。また、リモートワークや拠点間の転達に時間がかかると応答期間を圧迫するため、自社の体制に合わせた選択が必要です。


▌ 03|オンライン受領における管理体制と期限超過を防ぐ実務対策


営業日以内の定期起動と社内リマインダーの設定


経過到達による不利益を確実に防ぐためには、社内での電子出願ソフトの運用ルールを整備することが重要です。遅くとも10営業日、または2週間に1回は必ず電子出願ソフトを起動し、未受領の発送書類の有無を確認してオンライン受領を行う習慣をつけましょう。

電子出願ソフトを起動して本人認証を行うと、受取待機件数の通知画面が出ます。また、発送タブにある待機件数確認ボタンをクリックすることでも確認できます。未受領の書類がある場合は、開庁時間内に受取操作を完了させてデータを受信します。

法人が出願人となっている場合は、担当社員の失念を防ぐために、定期的なリマインダー通知や複数人によるダブルチェックの仕組みを制度化することが推奨されます。


自分で確認できる事項と専門家に相談すべき境界


自社で確認できる事項としては、電子出願ソフトの待機件数照会、受領した書類の閲覧や保存、発送日からの応答期限の計算などがあります。受領書類のデータ右上に記載された発送日を確認し、正確な到達日と応答末日を算出してください。

一方で、届いた拒絶理由通知書や補正指令書に対してどのような手続補正書や意見書を作成すべきかという法的判断や、権利化に向けた具体的な技術主張の組み立てについては、個別の発明内容に応じた専門的な知識が求められます。

対応内容の可否や手続の進め方に不安がある場合や、手続期限が迫っている場合は、弁理士などの専門家へ相談することを検討してください。当事務所では、出願後の審査対応や中間手続に関する初回相談を承っております。自社の権利を守り確実な手続を行うためにも、お気軽にお問い合わせください。


▌ ご相談



▌ 監修


弁理士 下茂 力


▌ 免責事項


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件に対する法的アドバイスを提供するものではありません。具体的な案件については当事務所へご相談ください。当事務所は本文書または本文書掲載の情報の利用によって利用者等に何らかの損害が発生したとしても、かかる損害については一切の責任を負うものではありません。

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