
Macで特許の電子申請はできる?必要な準備と実務上の注意点を解説
- SPECIAL FLOWER IP LAW FIRM

- 3 日前
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Macのパソコンで特許庁への電子申請(電子出願)を行うことはできるのでしょうか。
回答:Macのパソコンであっても、Windows仮想空間(BootcampやParallelsなど)を利用することで特許の電子申請を行うことが可能です。ただし、特許庁公式の動作保証対象外となっているため、ソフトの更新や機器の不具合によるトラブルに備えて、予備のWindows端末を用意しておくことが実務上重要です。
▌ 01|Macによる特許電子申請の概要
特許庁が提供している電子出願用のアプリケーション(電子出願ソフト)は、基本的にWindows向けに提供されています。そのため、Macの標準OSのままでは直接動作させることができません。しかし、Mac上でWindowsを起動させる仮想空間を構築することにより、電子出願ソフトを導入して特許や商標などの電子申請を行うことができます。
MacでWindows仮想空間を利用する方法は、搭載されているプロセッサの種類によって異なります。やや古いモデルに多いインテルプロセッサ搭載のMacであれば、標準機能であるBootcampを利用してWindows環境を導入できます。一方で、M1やM2といったMチップ搭載のMacではBootcampが使用できないため、Parallelsなどの仮想化ソフトウェアを活用してWindows環境を用意する必要があります。
このように、適切な環境設定を行えば、Macを使用している事業者や個人発明家であっても自社で電子出願ソフトを操作し、出願や各種届出の手続きを完結させることが可能です。
▌ 02|Macで電子申請を行うための具体的な準備手順
Macから特許庁への電子申請を行うためには、パソコン本体の設定だけでなく、電子証明書や専用機器の準備が必要です。以下の手順でセットアップを進めます。
仮想環境とWindows OSの設定
ご自身のMacのモデルを確認し、インテルプロセッサ搭載機の場合はBootcamp、Mチップ搭載機の場合はParallels等の仮想化ソフトをセットアップします。その上でWindowsを起動できる状態にします。
電子証明書と対応ICカードリーダーの用意
申請書類に電子署名を行うための電子証明書を取得します。手続者が個人であればマイナンバーカード、法人であれば法務局が発行する商業登記電子証明書を利用します。カードタイプの証明書を使用する場合は、パソコンに接続するICカードリーダーを用意し、必要なドライバーをインストールします。特にMacの仮想空間上ではICカードを認識しない機器も多いため、事前に動作確認を行うことが大切です。
電子出願ソフトのダウンロードと利用登録
検索エンジン等で「電子出願ソフトサポートサイト」にアクセスし、ソフトのダウンロード請求を行います。登録したメールアドレス宛に届く案内からインストーラーを取得し、画面の指示に従ってインストールを行います。その後、特許庁が付与する9桁の識別番号と電子証明書を結びつける申請人利用登録を完了させることで、電子申請が可能な状態になります。
▌ 03|実務上の注意点とトラブル防止策
Macを利用して特許の電子申請を行う場合、Windows専用ソフトを仮想環境で動作させることに起因する実務上の注意点がいくつか存在します。
動作保証外によるエラー発生リスク
特許庁は、Mac上のWindows仮想空間における電子出願ソフトの動作保証をしていません。現在は問題なく動作していても、電子出願ソフトのバージョンアップや、Parallelsなどの仮想化ソフトの更新、ICカードリーダーのドライバー自動更新などをきっかけに、突然ソフトが正常に起動しなくなったり、署名エラーが発生したりする可能性が否定できません。
出願や手続補正などの提出期限当日にMacでの電子申請が使えなくなった場合、手続きの遅延や権利の失効といった重大な不利益につながる恐れがあります。そのため、万が一の非常事態に備えて、電子申請が可能な予備のWindowsパソコンを1台用意しておく二重化体制を整えておくことが強く推奨されます。
ICカードリーダーの認識確認と事前テスト
多くの市販ICカードリーダーは、Macの仮想空間上でICカードを正常に認識しないケースがあります。申請作業を行う当日になって認識エラーが発生することを防ぐため、証明書読み取りツール等を用いてカードが正しく認識されるか事前にテストを行っておく必要があります。
緊急時の書面申請の選択肢
もし期限当日にトラブルが発生し、電子申請の復旧が間に合わない場合は、速やかに書面による申請へ切り替える判断が必要です。特許庁窓口への持参や、郵便追跡サービスを利用した郵送手続きを行うためのルールや様式を事前に把握しておくと安心です。
▌ 04|確認すべき事項と事前の取組
Macを用いて特許や商標などの手続きを進めるにあたっては、以下の項目をチェックリストとして活用し、漏れがないか確認してください。
事前確認チェックリスト
Macの仕様(インテルプロセッサまたはMチップ)に合わせた仮想環境(BootcampまたはParallels)が正しく設定されているか Windows仮想空間上でICカードリーダーがマイナンバーカードや商業登記電子証明書を正常に認識できるか 電子証明書(マイナンバーカード・商業登記電子証明書)の有効期限が切れていないか システム障害や機器トラブルに備えて、すぐに使える予備のWindows端末が準備されているか 出願や中間対応の提出期限に対して、時間に余裕を持ったスケジュールで作業を進めているか
自社で知財手続きの内製化を進める際や、適切な電子申請環境の構築、特許出願の戦略立案において判断に迷う場合は、専門家へのご相談をおすすめします。当事務所では、特許出願や知財戦略に関する初回相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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弁理士 下茂 力
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