特許権と意匠権の効果の差
企業が市場で競争力を維持するためには、自社の強みを正確に把握し、それを適切に知的財産権で保護することが重要です。ここでは、特許権と意匠権の効果の差を踏まえながら、自社の強みを守り発展させるための知的財産権の活用方法を具体的に見ていきます。
自社の強みと意匠権・特許権の捉え方
会社の強みを構成する要素を検討すると、安全性の向上、コストカット、付加価値、省エネルギー、性能の向上、顧客誘引力を実現する工夫などが見えてきます。これらを全体として捉えることで、会社の強みが意味的または時間的につながった一つの領域として把握できるようになります。
特許権の場合、自社の強みが会社の事業活動に関わる事項であり、かつ財務諸表の各要素の改善につながるかという「知財戦略の2大チェックポイント」を用いて分析します。一方、意匠権の場合には、製品・サービスのデザインの全部または一部について、顧客誘引力を有する可能性がある場合に自社の強みとして捉えます。
意匠権では、デザインが顧客誘引力に寄与し売上高向上につながっていることが明らかなため、顧客誘引力を有する可能性のあるデザインについて積極的に意匠出願を行います。これは、製品のどのデザイン要素にどの程度の顧客誘引力があるかを合理的に定量することが難しいという理由によります。
意匠権と特許権の質と効果の差
知的財産権の質を判断する上では、権利の範囲や保護の仕組みに違いがあります。特許権では、特許請求の範囲の文字数の多寡や、分割出願の有無、視認またはリバースエンジニアリングによる検知容易性が重要な判断材料となります。
これに対し、意匠権が十分に自社の強みに対応しているかは、製品・サービスのデザインが美観をもたらす最小限の領域として切り分けられて認識されていることや、その領域について部分意匠として登録されていることによって判断します。一般に、部分意匠であれば広く、全体意匠であれば狭くなると考えることができます。
また、意匠登録がない場合に不正競争防止法上の形態模倣行為として対応できる可能性はありますが、法律上、国内で最初に販売された日から3年までに制限されています。そのため、長期にわたる十分な保護を得るためには、意匠権の取得が非常に重要となります。
よくある質問
自社の強みと保有する権利の対応関係はどのように確認しますか?
自社の強みの領域に対して、複数の特許権や意匠権がクラスターとして形成されているかを確認します。公報の内容を丁寧に確認し、強みが過不足なくカバーされているかを棚卸しします。特許権や意匠権で十分にカバーできている箇所と、権利が欠落している箇所を色分けして可視化することが重要です。不足している領域については、新たに出願や権利化の方策を検討します。
分割出願を行うことにはどのようなメリットがありますか?
特許において分割出願の子出願を係属させておくことは、経営戦略上有用です。親出願の特許請求の範囲が不十分な場合に補正して改めて審査を受けられるほか、競合他社の新しい製品やサービスの特徴を捕捉するように子出願の範囲を補正して審査請求を行える場合があります。これにより競合他社の実施を制止できる可能性が高まります。なお、詳しい手続や最新の制度運用については特許庁の最新の案内を確認してください。
意匠の手続き一覧に戻る