手数料の支払時期は手続の前か後か
特許庁へ各種申請を行うにあたり、手数料や登録料の支払いが発生します。この手続きは、初めて特許等の手続きをご自身で進める個人の方や中小企業の担当者様にとって、支払いのタイミングや方法を理解しておくことが非常に重要です。手続きの前に支払うべきなのか、それとも後でよいのかを把握することで、予算の管理や社内の経費承認手続きをスムーズに進めることができます。本ページでは、特許庁へ支払う手数料の支払時期、支払方法の種類、そして手続きを進める上での具体的な準備や手順について分かりやすく解説します。
特許庁への手数料支払時期は「手続前」か「手続直後〜後日」か
特許庁への電子申請における支払方法は複数あり、支払時期の観点から「手続直後〜後日」と「各手続前」の2つに大別されます。ご自身の状況や社内体制に合わせて、最も都合のよい方法を選択してください。
1. 支払時期が手続直後〜後日であるもの
- クレジットカード納付(指定立替納付):手続きを行う際にクレジットカード情報を入力して決済する方法です。実際の引き落とし日は各クレジットカード会社が定める日(後日)になります。
- 口座振替:事前に特許庁へ登録した金融機関口座から、手続き後に引き落とされる方法です。引き落とし日は原則として「手続きの当日」ですが、銀行の営業時間を過ぎて電子申請をした場合は、引き落としが後日になることがあります。
2. 支払時期が各手続前であるもの
- 電子現金納付:手続きを行う前に、あらかじめ料金を支払っておく方法です。事前に納付番号を取得し、ペイジー(Pay-easy)を利用して振り込みを済ませてから、実際の申請手続きを行います。
支払方法別の具体的な手順と注意点
実際に手数料の支払い手続きを進めるための手順を、方法別に説明します。
クレジットカード納付(指定立替納付)の進め方
- 電子出願ソフトを利用して申請書類を送信する際、支払方法としてクレジットカードを選択します。
- クレジットカード会社が提供する「3Dセキュア(暗証番号登録)」による本人認証を行います。
注意点:クレジットカード決済にはシステムメンテナンス時間があります。土曜日の23時から日曜日の午前9時までの間は、クレジットカードでの決済手続きが行えませんのでご注意ください。最新のメンテナンス時間については、特許庁の最新の案内を確認してください。
口座振替の登録手順と進め方
口座振替を利用するには、事前の登録手続きが必要です。新規で口座を開設する必要はなく、すでにお持ちの金融機関口座を登録することができます。
- 申請書の提出:指定する口座情報を記載した口座振替の申請書(紙面)を特許庁に提出します。
- 内容の確認と差し戻しリスク:特許庁が申請書を確認し、金融機関と連携して口座確認を行います。法人の代表者の苗字や肩書きが、登記されている内容と完全に一致している必要があります。わずかな相違であっても申請書が差し戻されることがあり、補正のやり取りが発生した場合は口座振替が利用可能になるまで「1か月以上」かかる場合があります。
- 振替番号の受領:正しい申請書を提出してから平均3〜4週間で、特許庁から「振替番号」が郵送で通知されます。
- 手続きでの利用:電子申請を行う際、通知された振替番号を申請書類に記載することで、口座振替による支払いが実行されます。
電子現金納付の進め方
- 特許庁への手続きを行う前に、事前に「納付番号」を取得します。
- 取得した納付番号を使用し、ペイジー(Pay-easy)に対応する金融機関のATMやオンラインバンキングなどから振り込みを行います。
- 振り込み完了後、電子出願ソフト等を用いて申請手続きを送信・完了させます。
支払手続きを行うためのパソコン環境の準備
電子申請による支払いを行うためには、事前にパソコンの環境を整え、電子出願ソフトをセットアップしておく必要があります。初めて設定する場合は思わぬ時間がかかることがありますので、前もって準備することをお勧めします。
1. 推奨されるパソコンのOSとスペック
- Windowsパソコン:特許庁はWindows版の電子出願ソフトを提供しています。古いOSの場合は、あらかじめ最新のOSにアップデートしておいてください。Microsoft社のサポートが終了した古いOSでは、電子出願ソフトのサポートも終了し、電子申請や支払いができなくなります。
- Macを使用する場合の注意点:電子出願ソフトはWindowsにのみ対応しています。そのため、Macで使用する場合は「Windows仮想空間」を用意する必要があります。
- インテルプロセッサ搭載のMac(やや昔の機種)であれば、Bootcamp等を利用してWindows仮想空間を構築できます。
- Mチップ(M1など)搭載の新しいMacの場合は、Bootcampが使えないため、Microsoft社公認のParallels(定価11,500円/年程度)を用いてWindows仮想空間を利用することになります。
重要:特許庁はMacのWindows仮想空間における動作保証を行っていません。アップデート等によって突然電子申請や支払い手続きができなくなるリスクを避けるため、Macで電子出願を行う場合は、万が一に備えてWindowsで電子出願ができる予備パソコンを用意しておくか、書面申請の利用を検討してください。
2. 電子出願ソフトサポートサイトを活用したセットアップ手順
電子出願ソフトのダウンロードや各種設定は、特許庁が運営する「電子出願ソフトサポートサイト(https://www.pcinfo.jpo.go.jp)」の案内に従って進めます。
- サイトのトップ画面にある「はじめての方へ」(個人の方は「個人の方へ」、法人の方は「法人の方へ」)をクリックします。
- 掲載されている以下のフローに沿って準備を進めます。パソコンと電子証明書を所有している場合、設定作業自体は30分もかからずに完了させることができます。
- STEP-1 パソコンの準備
- STEP-2 電子証明書の準備
- STEP-3 出願ソフトの入手:オンラインで氏名やメールアドレスを登録し、送られてくるURLからインストーラーをダウンロードします。
- STEP-4 インストール:インストーラーを起動し、必要に応じてICカードリーダーのドライバーなど他の関連ソフトウェアも指示に従ってインストールします。
- STEP-5 申請人利用登録:特許庁から付与される9桁の固有番号である「識別番号」と「電子証明書」を紐づけて登録します。識別番号がない場合は、出願ソフトの管理ツールから新規取得が可能です。
- STEP-6 申請書類の作成
- STEP-7 電子出願(支払い・申請の実行)
電子申請と書面申請による費用・手数料の違い
特許庁への手続き方法には「電子申請」と「書面申請」の2つがありますが、支払う費用には大きな差があります。コストを削減するためにも、電子申請の利用をお勧めします。
電子申請のメリットと電子証明書のコスト
電子申請(インターネット出願)を利用する場合、システム利用料自体はかかりません。また、書面申請の際に課される「電子化手数料」が不要になります。ただし、電子署名に用いる証明書の取得には以下のコストがかかります。
- 個人の場合:マイナンバーカードなどが利用可能です。
- 法人の場合:法務省電子認証登記所が発行する「商業登記電子証明書」が必要です。証明期間に応じた法務省への手数料は以下のとおりです。
- 3か月:1,100円
- 6か月:2,100円
- 12か月:4,100円
- 24か月:7,900円
- カードタイプを使用する場合(オプション):日本電子認証株式会社のサービス(有償)を利用します。
- 法人認証カード(1年有効の場合で40,150円ほど。有効期間により異なります)
- ICカードスタートキット(USB接続型):9,900円
- 電子認証キット:11,000円ほど
※詳細および最新の料金や取得手順については、各機関のホームページなど、特許庁の最新の案内を確認してください。
書面申請の場合に課される「電子化手数料」
各種手続きを書面(郵送または特許庁窓口への持参)で行う場合、書面内容をデジタルデータ化するための「電子化手数料」の納付が義務づけられています。
- 電子化手数料の額:手続き1件につき2,400円 + 書面1枚につき800円
- 例:出願審査請求書(1枚)と手続補正書(2枚)を書面提出する場合
- 出願審査請求書分:2,400円 +(1枚 × 800円)= 3,200円
- 手続補正書分:2,400円 +(2枚 × 800円)= 4,000円
- 合計額:7,200円
重要:電子化手数料の納付をしない限り手続きは受理扱いにならず、手数料を支払わなかった場合には手続きが却下されます。手続き遅延や却下のリスクを避けるためにも、電子申請での支払い・申請を推奨します。
安全に支払いを行うための電子証明書の管理(ガバナンス)
法人が電子申請や支払いを行う場合、権限のコントロールや電子証明書の安全な管理(ガバナンス)が求められます。商業登記電子証明書を扱う際は、以下の証明書ストアの設定や漏洩時の対応手順を理解しておきましょう。
1. 証明書ストアの3つのタイプ
電子署名に使用する証明書ストアには以下の3つのタイプがあり、パソコンの利用制限をコントロールできます。
- 「PC限定タイプ」証明書ストア:申請人利用登録を行ったパソコンでのみ利用できます。複数のパソコンで使うには、それぞれのパソコンで登録を繰り返す必要があります。
- 「PC任意タイプ」証明書ストア:利用するパソコンを限定しないタイプです。証明書ストアをコピーして他のパソコンや外部媒体で利用できます。
- 他PC用「PC限定タイプ」証明書ストア:証明書保管部門のパソコンで他PC用の限定証明書ストアを作成し、利用部門のパソコンにインストールして利用を限定させる方法です。
2. 証明書ファイルを漏洩した場合の対応手順
万が一、電子証明書のファイルを紛失・漏洩した場合は、速やかに機能を停止させる必要があります。
- 方法1:商業登記電子認証ソフトでの使用休止(オンライン)
- 商業登記電子認証ソフトを起動し、下部にある「その他の機能」をクリックします。
- 画面右側の「電子証明書使用休止」をクリックします。
- 所定のシリアル番号と「使用休止届出用暗証コード」を入力して、証明書の機能を即時に停止させます。
- 方法2:法務局への使用廃止届け出(書面)
使用休止届出用暗証コードを紛失してオンラインでの休止操作ができない場合は、管轄の登記所(法務局)へ書面で「使用廃止」を届け出ます。申請書に必要事項を記載し、郵送または持参により提出してください。詳細は法務局のホームページなど、最新の案内を確認してください。
よくある質問
Q. 手数料の支払いを土日や夜間に行うことはできますか?
A. 電子申請自体は、日曜日の午前0時から9時までのシステムメンテナンス時間を除く24時間送信可能です。ただし、クレジットカード決済による支払いは、クレジットカード決済のメンテナンス時間(土曜日の23時から日曜日の午前9時まで)内は利用できません。また、最新のメンテナンス時間は変更される場合があるため、特許庁의最新の案内を確認してください。
Q. すでに所有している銀行口座を口座振替に使用できますか?
A. はい、すでにお持ちの金融機関の口座を特許庁へ登録できます。口座振替のために新しく口座を開設する必要はありません。ただし、申請書に記載する代表者の氏名や肩書き等が登記内容と完全に一致していない場合、差し戻しが発生して口座振替の利用開始までに1か月以上かかる場合があります。申請書の記載には十分にご注意ください。
Q. 手数料の支払状況を一覧で確認する方法はありますか?
A. 手続きの支払方法によっては、支払状況を案件番号とともに一覧して確認し、CSVファイルをダウンロードすることが可能です。しかし、各案件番号とともに一覧して確認ができない支払方法や、一覧表示自体ができない支払い方法も存在します。最新の納付照会機能については、電子出願ソフトサポートサイトを参照するか、特許庁の最新の案内を確認してください。
Q. 書面申請で電子化手数料を支払い忘れた場合はどうなりますか?
A. 電子化手数料を支払わなかった場合、書面で提出した手続きは受理されず、最終的に却下されます。これにより、ご自身の権利取得手続きなどに重大な遅延や不利益が生じる可能性があります。手数料の支払い漏れを防ぎ、余計なコストを省くためにも、電子化手数料がかからない電子申請の利用をお勧めします。
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