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手続補正書の書き方

特許出願の手続きを進める中では、特許庁とのやり取りにおいて出願書類の内容を修正したり、追加したりする必要が生じることがあります。特に、特許庁との間で「特許請求の範囲」の特許性が争点になることが多い特許出願の中間対応においては、この修正手続きが非常に重要な役割を持ちます。実務上も、手続補正書を使用する機会は「特許請求の範囲」の補正が大部分を占めています。この記事では、実務家や中小企業の担当者が自ら手続補正書を作成し、特許庁への手続きを適切に進められるよう、記載すべき項目や具体的な書き方、手数料の計算方法にいたるまで、詳しく解説します。

手続補正書の基本様式と構成項目

手続補正書は、大部分の書類の補正において使用することができる、極めて汎用性の高い書類です。手続きを円滑に進めるためには、まず正しい様式を入手し、構成する項目を正しく理解する必要があります。最新の様式や電子出願ソフトでの取り扱いについては、特許庁の最新の案内を確認してください。

様式の入手方法

手続補正書の様式は、電子出願ソフトサポートサイトを検索することで入手できます。また、以下のURLから直接検索して確認することも可能です。あらかじめ最新の情報を確認しながら作成を進めることをお勧めします。

手続補正書の主な記載項目

手続補正書を作成するにあたって、以下の項目を順番に記録していきます。各項目の意味と役割を正しく理解し、記載漏れがないように注意しましょう。

  • 【書類名】:ここには「手続補正書」と記録します。
  • 【提出日】(任意項目):電子出願を行う場合、提出した日付は自動的に記録されるため、この項目は省略可能です。ただし、書面で出願する場合には、稀に「○○日提出の特許願」のように特定の案件を指し示すために必要となることがあります。そのため、書面で提出する際は記載しておいた方が役立つ場合があります。
  • 【あて先】:宛先は手続きの状況に応じて厳密に使い分ける必要があります。特許庁審査官からの拒絶理由通知等の通知に係る補正を行う場合は「特許庁審査官殿」と記録します。一方、特許庁長官からの手続補正指令等の通知に係る補正、または自発的に補正を行う自発補正の場合は「特許庁長官殿」と記録します。
  • 【事件の表示】:補正の対象となる出願を特定するための項目です。【出願番号】の欄を設け、「特願○○○○-○○○○○○」のように補正に係る特許出願の番号を正確に記録します。
  • 【補正をする者】:この欄には、出願に係る補正を行う出願人の情報を記録します。
  • 【代理人】(任意項目):委任された代理人が手続きを行う場合にのみ記載します。特許出願人自らが手続きを進める場合には、この項目を設ける必要はありません。

補正内容の特定方法と具体的な記述ルール

補正の核となるのが、どの書類のどの部分を、どのように修正するのかを示す項目です。複数の補正を行う場合は、項目ごとに【手続補正1】、【手続補正2】のように連続番号を付して記録していきます。それぞれのサブ項目には以下の内容を正確に記録します。

【手続補正1】の具体的な記録要領

  • 【補正対象書類名】:補正を加えたい元の書類の名前を記載します。例えば「特許願」、「明細書」、「手続補正書」、「出願人名義変更届」などが該当します。特許請求の範囲を補正する場合には「特許請求の範囲」と記録します。
  • 【補正対象項目名】:補正を行う具体的な単位名を記録します。これには「発明者」、「特許出願人」、「代理人」、「補正をする者」、「承継人」、「段落番号○○○○」、「図○」、「請求項○」、「全文」、「全図」、「原出願の表示」などがあります。特許請求の範囲を補正する際は、全文の様々な箇所を直すことが多いため、慣習的に「全文」と記録することが多いです。特許請求の範囲の全文を丸ごと差し替える形にする方が、出願人にとっても内容がわかりやすく、記載ミスを防ぐことにつながるからです。
  • 【補正方法】:補正の形態に応じて言葉を使い分けます。既に提出した書類の記載内容を変更する場合は「変更」と記録します。新たな事項を追加する場合は「追加」、記載されている事項を削る場合は「削除」と記録します。ただし、願書を補正する場合において、新たに発明者を加えるとき、あるいは発明者のうちの一部を削るときは、追加や削除ではなく「変更」と記録する必要がある点に注意してください。特許請求の範囲を補正する場合は、一般的に「変更」と記録することが多いです。
  • 【補正の内容】:この欄は、「補正方法」が「変更」または「追加」である場合のみ記録します。「補正方法」が「削除」である場合には、この欄を設けて記録することはできません。

補正の書式と下線のルール

補正の内容を記載する際には、特許庁が公開している作成例などを参考にするのが確実です。詳細な作成例については、以下のURLから検索して確認してください。最新の表示環境などにより変更が生じる場合もあるため、必要に応じて特許庁の最新の案内を確認してください。

書類を作成する上での重要なルールとして、補正を行った箇所には必ず下線を引くという点があります。この規則に従って下線を施すことで、補正を行った本人だけでなく、審査官や審判官がどの部分をどのように補正したのかを容易に確認できるようになります。具体的な書き方のイメージは、以下の「補正前の文面」と「補正の内容」の対比のようになります。

補正前の文面(例)

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
アカウントがマッチした後に、マッチした相手のアカウントを停止する指示を相手のアカウントに送る情報処理部と、
を有する情報処理装置

補正の内容(例)

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
アプリケーションで機能するアカウントがマッチした後に、マッチした相手のアカウントに対応する情報処理装置に、そのアカウントのアプリケーションの機能を停止又は登録の休会又は退会する要求を送る情報処理部と、
を有する情報処理装置

請求項の増加に伴う手数料の追加納付と減免手続き

補正の結果として、請求項の数が増加する場合には追加の手数料を納付する必要があります。出願審査請求を行う際に、当初の特許請求の範囲に記載された請求項の数に応じた手数料をすでに納付していますが、補正によって当初の請求項総数よりも増える場合、その増えた従量分について追加の出願審査料金を支払わなければなりません。

この場合、手続補正書に【補正により増加する請求項の数】という欄を設け、増加する請求項の数(数値のみ)を記録します。そして、追加で支払うべき手数料の額は、別途【手数料の表示】の欄を設けて記録します。

追加手数料の計算方法は、以下の通りです。

  • 「増加した請求項の数 × 4,000円」

もし、手数料の減免対象者に該当する場合は、上記の金額にそれぞれ軽減される割合をかけた上で、10円未満の端数を切り捨てた金額となります。減免の適用を受ける場合には、手続補正書の中に【その他】という項目を必ず設けて、以下のように記録してください。

「特許法施行令第10条第●号●に掲げる者に該当する請求人である。減免申請書の提出を省略する。」

この記録を怠ったまま手続補正書を提出してしまった場合、減免が適用されない可能性があります。必要な記録を忘れないよう、作成時には細心の注意を払ってください。なお、減免の対象となる具体的な区分や手続きの最新情報については、特許庁の最新の案内を確認してください。

手続補正書の具体的な記載例

ここまで説明した各項目を組み合わせた、手続補正書の全体的な記載例を紹介します。ここでは、マッチングアプリの特許請求の範囲について、請求項の数を増加させる補正を行うケースを想定しています。

【書類名】  手続補正書
【あて先】  特許庁長官殿
【事件の表示】
 【出願番号】 特願2023-204234
【補正をする者】
 【識別番号】 515120143
 【氏名又は名称】井澤佑斗
【補正により増加する請求項の数】 4
【手続補正1】
 【補正対象書類名】特許請求の範囲
 【補正対象項目名】全文
 【補正方法】  変更
 【補正の内容】
【書類名】  特許請求の範囲
【請求項1】
アプリケーションで機能するアカウントがマッチした後に、マッチした相手のアカウントに対応する情報処理装置に、そのアカウントのアプリケーションの機能を停止又は登録の休会又は退会する要求を送る情報処理部と、
を有する情報処理装置

よくある質問

Q1. 手続補正書はどのような場面でよく使われますか?

A1. 手続補正書は、特許庁へ提出した大半の書類について内容を補正する際に広く利用できます。特許の実務においては、特許庁とのやり取り(中間対応)の中で「特許請求の範囲」の特許性が争点になることが非常に多いため、実際には「特許請求の範囲」の内容を補正する目的で手続補正書を作成・提出する機会が多くを占めています。

Q2. 宛先にある「特許庁長官殿」と「特許庁審査官殿」は、どのように使い分ければよいですか?

A2. 手続きの経緯によって宛先を厳密に使い分ける必要があります。特許庁の審査官から拒絶理由通知などの通知を受け取り、それに対応して補正を行う場合は「特許庁審査官殿」と記載します。一方で、特許庁長官から手続補正指令などの通知を受けて補正を行う場合、あるいは出願人が自主的に行う自発補正の場合は「特許庁長官殿」と記載します。どちらに該当するか、現在のステータスを確認して正しく記載してください。

Q3. 補正によって請求項の数が増えた場合、手数料はどのように支払えばよいですか?

A3. 出願審査請求の後に請求項の数が増加した場合は、増加した分の審査料金を追加で支払う必要があります。追加手数料の額は「増加した請求項の数 × 4,000円」で計算します。手続補正書には「補正により増加する請求項の数」の欄を設けて増えた数を記録し、追加する手数料の具体的な金額は「手数料の表示」欄に記載します。また、減免措置の適用を受ける場合は、手続補正書の「その他」欄に特定の文言(特許法施行令の該当条項等)を記載する必要があります。最新の軽減割合や対象要件等、詳細なルールについては特許庁の最新の案内を確認してください。

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