特許請求の範囲の書き方
特許出願を行う実務家や中小企業の担当者に向けて、特許庁へ提出する書類の一つである「特許請求の範囲」の具体的な書き方を解説します。特許請求の範囲は、どのような内容で権利を取得したいかを決める極めて重要な部分です。
特許請求の範囲を広げる方法
特許請求の範囲の権利範囲は、上位概念で記載した方が広く、下位概念で記載した方が狭くなります。上位概念の請求項を書くための最も簡単な方法は、まずは上位概念のことは気にせずに特許請求の範囲を書くことです。見直しのステップで単語を上位概念化します。
説明を平易にするために、ブルーベリーのタルトに着想を得て、「タルトの作り方」の特許請求の範囲を例に考えます。まず、請求項の記載は、他の請求項で引用できます。少なくとも、「請求項 1 に記載の○○であって、」という記載にすれば足ります。業界では、他の請求項を引用しているものを「従属請求項」、引用をしていないものを「独立請求項」といいます。日本においては、請求項のすべてが独立していても問題ありません。
改善前の例を見てみます。
【書類名】特許請求の範囲
【請求項 1】薄力粉と生卵を手で混ぜて生地を作り、その生地を焼き固めたブルーベリータルト。
【請求項 2】請求項 1 に記載のタルトであって、ブルーベリーはタルトの表面の 1/2 以上を覆うタルト。
次に、改善後の例を見てみます。それぞれの単語に着目し、単語を上位概念化します。修飾語や接頭語を削除することは、上位概念化する最も簡単な方法の 1 つです。
【書類名】特許請求の範囲
【請求項 1】麦を原料に含む粉と卵を混ぜて生地を作り、その生地を焼いたタルト
【請求項 2】請求項 1 に記載のタルトであって、タルトの表面の 1/2 以上をブルーベリーで覆うタルト。
修正後の請求項1は、修正前の請求項1よりも、発明の範囲が広がっています。例えば、薄力粉というのは小麦粉のジャンルの 1 つに過ぎません。そのため、「麦を原料に含む」粉に変えました。「生卵」を「卵」、「手で混ぜて」を「混ぜて」、「ブルーベリータルト」を「タルト」と余計な構成を省いています。こうすれば、手で混ぜる実施形態と機械で混ぜる実施形態を明細書に書いておけば、どちらの形態にも発明の範囲が及ぶことになります。
請求項の数と単一性の考え方
審査請求の料金は請求項の数に比例して高くなります。日本では、慣習的に、2 から 15 程度の数が一般的だと思います。一般的に、15 あれば、ある発明の全体像を過不足なく捉えられるでしょう。当然、ケースバイケースで請求項の数は自由に決めてください。仮に、6 個の請求項を予定していた出願に、7 つの請求項を足して 13 個の請求項に増やしたとしても、審査請求料金は、28,000 円しか増えません。
一方で、審査基準には単一性という要件があります。請求項が 2 以上あった際、特許庁の審査官は、相互に技術的に密接に関連した発明ならば、請求項の全部をまとめて審査してくれます。一方で、審査官は、請求項が相互に関連性が薄い場合、たくさんの請求項を並べたとしても、請求項 1 から出発して、途中の請求項までしか審査しない可能性があります。
この場合、審査されなかった部分は削除し、その部分は分割出願をして審査請求をし直すことになります。補正や分割出願の詳細については特許庁の最新の案内を確認してください。また、従属請求項は、慣れてくると使うと楽になります。
よくある質問
上位概念化の最も簡単な方法は何ですか?
修飾語や接頭語を削除することが、上位概念化する最も簡単な方法の 1 つです。例えば、「薄力粉」を「麦を原料に含む粉」に変更したり、「生卵」を「卵」にしたり、「手で混ぜて」を「混ぜて」に変えたりすることで、発明の範囲を広げることができます。
請求項の数はいくつにするのが一般的ですか?
日本では、慣習的に 2 から 15 程度の数が一般的だと思います。15 あれば、ある発明の全体像を過不足なく捉えられるでしょう。ただし、ケースバイケースで請求項の数は自由に決めてください。
請求項の関連性が薄い場合はどうなりますか?
請求項が相互に関連性が薄い場合、たくさんの請求項を並べたとしても、特許庁の審査官は請求項 1 から出発して途中の請求項までしか審査しない可能性があります。この場合、審査されなかった部分は削除し、その部分は分割出願をして審査請求をし直すことになります。詳細は特許庁の最新の案内を確認してください。
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