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競争優位を設計する知財の2つの視点

意匠権における自社の強みの発見と棚卸し

特許庁への手続きを自ら進める実務家や中小企業の担当者に向けて、意匠権を活用した知財の上流戦略の具体的な進め方を解説します。意匠権における上流戦略の第一歩は、自社の強みを正確に見つけることです。

自社の強みは、会社の事業活動に関わる事項であること、そして財務諸表の各要素の改善につながるということの2つの観点から検討します。さらに意匠権においては、自社が販売する製品・サービスのデザインの全部又は一部について、顧客誘引力を有する可能性がある場合に自社の強みとして捉えます。

顧客誘引力については、その可能性があれば足り、顧客アンケート等によって立証することまでは必要ありません。以下の観点から、顧客誘引力を有する可能性があるかを検討します。

  • 物品の形状、模様、色彩、又はこれらの結合
  • 機器の操作に供される画像
  • 機器が機能を発揮した結果として表示される画像
  • 組物のデザイン
  • 建築物のデザイン
  • 内装のデザイン
  • 上記のいずれかの部分

販売する製品・サービスの中に顧客誘引力を有する可能性があるデザイン部分が存在する場合には、原則として自社の強みと判断し、積極的に意匠出願を行います。自社の強みを正確に把握した上で、次の3ステップで上流戦略を進めます。

  1. 自社の強みを棚卸しすること
  2. 自社の保有意匠権を棚卸しすること
  3. 自社の強みに対して、保有意匠権が過不足なく対応しているかを確認すること

意匠権の検索を行うには、J-PlatPatで自社名を検索し、検索結果一覧において「意匠」をクリックすることで、意匠の一覧を閲覧し、必要に応じてCSV出力を行います。

部分意匠・関連意匠・秘密意匠を活用した権利クラスターの形成

自社の強みに対して意匠権が過不足なく対応しているかを確認する際は、部分意匠、関連意匠、秘密意匠を適切に組み合わせ、権利のクラスターを形成することが重要です。

意匠権の広さは原則として部分意匠であれば広く、全体意匠であれば狭くなります。美観をもたらす最小限の領域に切り分けられているほど、部分意匠として広くカバーされていると評価できます。公報の【意匠の説明】欄を確認し、着色した部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である旨の記載があるかを確認します。

また、基礎意匠として登録された意匠権を中心に複数の関連意匠権が存在している状態を作ることで、類似デザインにまで意匠権の効力が及び、高い参入障壁を築くことができます。

さらに、デザインは製品・サービスが公開される前の段階では社内で秘密として管理されるべき情報であるため、出願段階で秘密意匠を選択します。秘密意匠を選択すれば、設定登録日から最長3年間、意匠の内容を秘密にすることができ、製品・サービスの公開時期までデザインを秘匿しながら意匠権の取得を進めることが可能です。

よくある質問

質問:製品が業者にのみ納入され、一般の目に触れない場合でも意匠出願すべきですか。

回答:競合他社である以上アプローチする顧客は共通していることが多く、商談や相見積もりの機会などを通じて納入製品のデザインを視認できる機会が生じることがあります。そのため、視認できる可能性がある場合には検知容易性があるものと判断し、積極的に意匠出願を検討してください。なお、断定できないことは特許庁の最新の案内を確認してください。

質問:意匠権によるカバーが不十分で模倣品が出た場合、不正競争防止法で対応できますか。

回答:不正競争防止法上の形態模倣行為として対応できる可能性はありますが、法律上、国内で最初に販売された日から3年までと制限されています。長期的にデザインの価値を守るためには、意匠権の取得が非常に重要です。詳細や不明な点は特許庁の最新の案内を確認してください。

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