特許権の質|分割の有無
企業の強みを経営戦略上で数十年にわたって維持し、発展させていくためには、知的財産権の上流戦略を設計することが重要です。ここでは、保有する特許権の質を判断する要素の一つである「分割出願の有無」や、特許権の評価に関わる重要なポイントについて詳しく見ていきます。
特許権の質と分割出願の役割
特許においては、分割出願が存在することも重要です。理想的なのは、親出願が特許査定を受けて登録されており、さらに子出願が分割出願として係属している状態です。このような状態には、いくつかの大きなメリットがあります。
第1に、親出願の特許請求の範囲が不正確又は不十分であり、自社の強みを十分にカバーできていない場合でも、子出願の特許請求の範囲を補正し、改めて審査を受けることができます。その結果、子出願について特許査定を得ることができれば、自社の強みをより適切にカバーする特許権を取得できます。さらに、親出願と子出願の双方について特許権を取得できれば、2つの特許権による小さなクラスターを形成できます。競合他社は、これら2つの特許権をいずれも無効にするか、又は双方を回避するように事業を設計しなければならないため、経営戦略上、有利な状態をつくることができます。
第2に、子出願の特許請求の範囲を、競合他社が新たに販売した製品やサービスに対応するように補正し、改めて審査を受けることができます。その結果、子出願について特許査定を得ることができれば、競合他社は、その製品やサービスの提供を中止するか、当該特許権を無効にする対応を迫られることになります。この点でも、分割出願は経営戦略上有用です。さらに、分割出願された子出願が係属していること自体が、競合他社に対する牽制として機能する場合があります。
特許権の質を判断するその他の要素
特許権が自社の強みに十分対応しているかどうかは、分割出願の有無だけでなく、特許請求の範囲の広さや検知容易性によっても判断します。特許請求の範囲の広さは、原則として文字数が少なければ広く、文字数が多ければ狭いと考えることができます。また、検知容易性については、視認又はリバースエンジニアリングにより評価が完結するか、競合他社の製品やサービスを業者又は一般消費者の立場で取得・利用・閲覧できるかといった視点から判断することが重要です。
よくある質問
Q. 親出願だけで十分に特許を取得している場合でも、分割出願は必要ですか。
A. 親出願の特許請求の範囲が自社の強みを十分にカバーできていない場合や、競合他社の新たな製品・サービスに対応させたい場合、あるいは競合他社への牽制効果を持たせる上で、分割出願の存在は経営戦略上有用な要素となります。詳細な判断や具体的な手続きについては、特許庁の最新の案内を確認してください。
Q. 分割出願が存在することで、どのような経営上のメリットがありますか。
A. 親子両方の特許権によるクラスターを形成して競合他社の参入障壁を高めることができるほか、M&Aや上場を検討する場面において、事業や知的財産ポートフォリオの評価額を高める要素になり得ます。
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